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【図解】認定失効制度とは?未稼働発電所は認定取消へ!わかりやすく解説【改正再エネ特措法】

【図解】認定失効制度とは?未稼働発電所は認定取消へ!わかりやすく解説【改正再エネ特措法】※この記事は2024年3月22日に最新の情報に更新されました。

2022年4月1日から改正された再エネ特措法。それに合わせ、太陽光発電所の未稼働案件を対象に「認定失効制度」が施行されることになった。これまでにも未稼働案件に対する特別措置がとられてきたが、今回初めて制度化される。

そこでこの記事では、認定失効制度が導入される理由や制度の仕組み、これまでの制度との違い、そして対象となる未稼働案件とその案件がとるべき対応について、わかりやすく解説する。

未稼働案件は、深刻な問題を3つ抱えている

未稼働の太陽光発電所は、深刻な問題を3つ抱えている

太陽光発電所の未稼働案件とは、FITに関する手続きが済んだにも関わらず、発電所の建設や運転を開始していない案件のことである。

FIT認定後、土地の権利関係で揉めて案件が進行しなかったり、全国的な再エネ導入量の急激な増加によって施工業者やパネルの確保が困難になったりしたことで、全国各地で未稼働案件が多発した。2021年3月時点で未稼働案件は日本全国に約23GWもあるといわれている。そしてこの未稼働案件は、3つの深刻な問題を抱えていることから、認定失効制度がスタートする。

①未稼働案件が稼働すると、再エネのコストが下がらない

通常、電力の市場価格は需要と供給に合わせて変動する。しかし、FIT制度ではその市場価格は考慮されない。20年間、国が一律の値段(FIT単価)で電力を買い取ってくれるのだ。このFIT単価は、パネルやパワコンなどといった太陽光発電設備の価格の平均値をもとに決定される。例えば、10〜250kWの発電所では、2012年度のFIT単価は40円だった。

しかし、機器の値段低下にともなってFIT単価も下落し、2021年のFIT単価は11〜12円になっている。少しずつ、FIT単価は市場価格へと近づきつつあるのだ。

もし未稼働案件が一気に稼働した場合、FIT単価が高い案件から工事が進むと考えられる。そしてFIT単価が高い案件が一気に稼働すると、国は20年間一律の単価で電力を購入しなければならない。その結果、低減する見通しのついた仕入れコストの平均が、また上がってしまうことになるのだ。

②未稼働案件が稼働すると、国民の負担がさらに増える

国が再生可能エネルギー由来の電力を買う際、その費用を負担するのは私たち国民だ。その費用は「再エネ賦課金(再生可能エネルギー発電促進賦課金)」といわれており、月々の電気代に上乗せされている。つまり、国が再生可能エネルギーを買う費用が増えるほど、再エネ賦課金も上昇することになるのだ。

2012年度の再エネ賦課金は0.22円/kWhだった。しかし再エネ賦課金は年々上昇しており、2022年には3.45円/kWhを超え、2021年に私たちが支払った再エネ賦課金の総額は約2兆4000億円を突破している。もし未稼働案件が一気に稼働した場合、高額なFIT単価の案件が増えるため、私たちの負担はさらに重くなってしまうのだ。

参考:【2023年最新】電気代の再エネ賦課金とは?仕組みと推移、値上げの理由と今後の予想をわかりやすく解説!

③新規案件の開発が進まない

発電所でつくられた電気を消費者に届けるためには、送電線や配電線といった送配電網が必要だ。そして、送配電網の容量には限りがある。未稼働案件は系統を前もって確保しているケースが多く、その分だけ、新規案件の参入を阻んでいることになるのだ。

 

未稼働案件はこれら3つの深刻な問題を抱えている。2016年と2018年にも議論が行われ、「FIT認定から3年以内に運転開始(運開)しなければ認定失効」や「早く運転開始しないとFIT単価を変更する」などの措置がとられたが、問題の解決にまでは至らなかった。

こういった理由から、運開する見込みのない未稼働案件を取り締まるために、認定失効制度が制度化されることになった。

 

認定取消となる条件は運転開始期限によって異なる

今回、認定執行制度の対象となるのは「FIT認定を取得したが運転開始していない、10kW以上の発電所」だ

該当する発電事業者は、認定が失効する前に発電所の運転をスタートするか、発電事業をとりやめにするかを選択する必要がある。制度の詳細を説明する前に、前述した2016年と2018年の議論の際に決定した内容について説明する。

<2016年に決定した内容>
・2017年3月31日までに電力会社と接続契約(電気を売る契約のこと)をしていない案件はFIT認定を取り消す
・2016年8月以降に接続契約を締結した案件は、運転開始期限を超過した場合、超過した期間分の買取期間を短縮する
・2016年7月31日までに接続契約をした案件は運転開始期限を設定しない

<2018年に決定した内容>
・運転開始日は「系統連系工事の着工申込」が完了した日とする
・FIT認定年ごとに着工申込の期限を設ける
・運転開始期限は「着工申込完了日から1年」または「着工申込期限日」とする
・運転開始期限を守ればFIT単価はそのまま、もし遅れた場合は着工申込日から数えて2年前の買取価格に変更する
・運転開始期限を超過した場合は、超過期間分だけ調達期間を短縮する

これらをまとめると、従来の制度では、FIT認定を失効するのは下記の3パターンだけということになる。

(1)2017年3月31日までに電力会社と接続契約をしていない
(2)運転開始期限から1年以内に運転開始も着工申込も行っていない
(3)運転開始期限から1年以内に着工申込をしたが、運転開始期限となる3年後までに運転開始していない

図にすると、以下のようになる。

従来の制度では、FIT認定を失効するのは下記の3パターンだけということになります。  (1)2017年3月31日までに電力会社と接続契約をしていない (2)運転開始期限から1年以内に運転開始も着工申込も行っていない (3)運転開始期限から1年以内に着工申込をしたが、運転開始期限となる3年後までに運転開始していない


今回追加される条件は「2022年3月31日までに運転開始期限を迎える案件」が対象だ。

エネルギー庁の資料などでは「2022年4月1日以降に運転開始期限を迎える案件」についても説明があるが、その条件に該当する発電所は上記パターンの(2)と(3)を守ればFIT認定を失効することはない。

この記事では主な対象となる「2022年3月31日までに運転開始期限を迎える案件」について、失効の条件を説明する。

①2022年3月31日までに運転開始期限を迎える案件

これまでのルールでは、2019年3月31日までにFIT認定を受けた未稼働案件は、2022年3月31日までに発電所の運転を開始する必要があった。

しかし、今回の制度開始により、最後のチャンスとして「経過措置」が与えられている。これらの案件の運転開始期限日は、もともと設定されていた期限日ではなく、認定失効制度が施行される2020年4月1日からもう一度計算し直すことになったのだ。つまり、下記の図のように

(4)2023年3月31日までに運転開始と着工申込をしなかった発電所
(5)2023年3月31日までに着工申込をしたが、2025年3月31日までに運転開始していない発電所

が認定失効の対象となる。

 

2023年3月31日までに運転開始と着工申込をしなかった発電所 、2023年3月31日までに着工申込をしたが、2025年3月31日までに運転開始していない発電所  が認定失効の対象となります。

 

②運転開始期限が設定されていない場合

2012年から2016年の間にFIT認定を取得し、2016年7月31日までに電力会社と接続契約をした未稼働案件には運転開始期限がない。そのため、着工申込すらしていない案件が多く存在する。

そういった、今後稼働する見込みのない案件をフェードアウトさせるために、運転開始期限がない案件も認定失効制度の対象に含まれることになった。今回の失効制度では、以下の図のように

(6)2023年3月31日までに運転開始と着工申込をしなかった発電所
(7)2023年3月31日までに着工申込をしたが、2025年3月31日までに運転開始していない発電所

が認定取消の対象となる。

 

2023年3月31日までに運転開始と着工申込をしなかった発電所、 2023年3月31日までに着工申込をしたが、2025年3月31日までに運転開始していない発電所  が認定取消の対象となります。


(6)と(7)に該当する発電所は、もし運転開始をしてもFIT単価が下がってしまうので注意が必要だ。

2018年の措置により、着工申込日から数えて2年前の買取単価に変化されることになっている。例えば2012年にFIT認定を受けても、運転開始が2022年なら、2020年の買取単価に変更されることになるのだ。

 

運開予定がない未稼働案件は着工申込をした方がいい

ここまでは、失効認定制度の対象となる未稼働案件と、失効の条件について説明した。

この制度によって全ての未稼働案件に期限が設けられたことになるが、なんらかの事情ですぐに運転開始ができない発電事業者も少なくないだろう。そういった方は、着工申込(系統連系⼯事着⼯申込み)だけでも行っておくことをおすすめする。

着工申込とは、発電事業者が太陽光発電所があるエリアの送配電事業者に対して、系統連系の工事を申し込むことだ。着工申込をすれば先に必要なスペースを確保でき、そのうえ運転開始期限が3年伸びる。1年の運転開始期限ギリギリで着工申込をすれば、合計4年も運転開始を延期できるのだ。

着工申込には、以下の要件を満たす必要がある(②と③は必要な場合のみ)。

 ①土地の所有権、使用権限があること
 ②土地の農業振興地域整備計画の変更、または、農地転⽤許可を受けていること
 ③林地開発許可を受けていること

着工申込の進め方は管轄の電力会社によって異なるので、各社のサイトをご確認いただきたい。ちなみに着工申込は「送配電網の予約」だ。運転開始期限内に発電所の運転をスタートできる場合は、着工申込を行う必要はない。

今回の認定失効制度は、運転開始が期待できない未稼働案件の権利を失効させるために実施される。現在、未稼働案件をお持ちの方は、損しないためにもしっかり運転開始期限を把握し、案件をどうするか具体的に検討した方がいいだろう。

 

しろくま電力は高い施工品質で、CO2排出量・電気代の削減を実現
補助金の煩雑な申請も担当者が手厚くサポート

しろくま電力は太陽光発電所の適地探しから土地開発、資材調達、施工までを一気通貫で行っている。発電設備の導入にあたって、PPAモデル・自社所有型モデルともに対応可能だ。

しろくま電力で太陽光発電設備するメリットは以下の3点だ。

・大規模発電所など、数多くの発電所を施工した実績
・設置場所の課題をクリアし、発電量を増やす技術力
・日射量データとAIを駆使した適地探し

しろくま電力のPPAのメリット①大規模発電所など、数多くの発電所を施工した実績

しろくま電力は、国内にある発電所の施工を数多く担当してきた。メガソーラーをはじめとする大規模発電所や、店舗の駐車場に設置するソーラーカーポートなど、施工実績が豊富だ。

土地開発から施工にいたるまで、ほぼ全ての業務を内製化する中で培った独自のノウハウを活かし、高品質の太陽光発電所を設置する。

参考:オンサイトPPAとは?オフサイトPPAとの違い、メリットデメリットをわかりやすく解説
参考:オフサイトPPAとは?オンサイトPPA・自己託送との違いをわかりやすく解説

しろくま電力のPPAのメリット②設置場所の課題をクリアし、発電量を増やす技術力

2つ目のメリットが技術力の高さだ。しろくま電力は施工に加え、施工の研究や実験にも力を入れている。発電所の設計では「影のない3D設計」を実現。3D設計により、100m横の敷地に立った左の発電所よりも22%も発電量を増やすことに成功した。

afterFITは現場の施工に加え、施工の研究や実験にも力を入れている。発電所の設計では「影のない3D設計」を実現。3D設計により、100m横の敷地に立った左の発電所よりも、22%も発電量を増やすことに成功した。

また太陽光発電設備は、屋根上や遊休地はもちろん、水の上や遠隔地、駐車場にも設置できる。特に駐車場に設置するソーラーカーポートには強いこだわりがあり、一級建築士監修のもと、2年もの歳月をかけて改良を重ねてきた。

他社とafterFITのソーラーカーポートを比較したイラスト。左が従来の四本足のソーラーカーポートで、右がafterFITが開発した二本足タイプ「しろくまカーポート」。

上図左側のように、従来のソーラーカーポートは4本足で、駐車や扉の開閉がしづらく、相場も高い。しかししろくま電力では、前方に足がない2本足タイプを開発。これによって駐車しやすく、扉の開け閉めが容易になった。

実際にケーヨーデイツー姉崎店に設置されている、2本足のしろくまカーポート(実際にケーヨーデイツー姉崎店に設置されている、2本足のソーラーカーポート)


ソーラーカーポートの価格についても、資材の大量輸入や業務効率のいい工法の開発などにより、業界トップクラスの低価格で対応する。PPAモデルを活用すれば、初期費用0円でソーラーカーポートや太陽光発電設備を導入することもできる。

参考:【図解】ソーラーカーポートとは?価格相場や導入メリットデメリット、補助金情報を解説!
参考:しろくま電力「しろくまカーポート事業ページ」

しろくま電力のPPAのメリット③日射量データとAIを駆使した適地探し

しろくま電力には土地開発チームがあるため、オフサイトPPAモデルを行う場合、土地探しから土地開発、施工までを一貫して実施できる。

土地探しの際は、自社で開発した「再生可能エネルギー適地検索システム」を活用。日射量データや該当エリアの系統の空き容量、土地の情報などのデータを学習したAIが、152万に分割した日本の土地の中から発電所の適地を見つけだす。

しろくま電力では、豊富な実績と高い技術力を活かし、国内企業の脱炭素や電気料金の高騰リスク軽減を全力でサポートする。太陽光発電設備の導入(PPAモデルまたは自社所有型モデル)に関するお問い合わせやご相談は「太陽光発電設備の導入に関するお問い合わせフォーム」または下記のバナーから。

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