
【発電事業者必見】梅雨時の発電量・起きがちな太陽光発電のトラブルを解説!
2022/06/10
天候の影響を受けやすい太陽光発電。雨天が続けば発電量も当然減ることになりますが、実施はどの程度減少するのでしょうか? 梅雨時期に起きがちな太陽光発電のトラブルとあわせてご紹介します。
太陽光発電と聞くと「晴れた日だけしか発電できないのでは?」と思われるかもしれません。しかし実際は曇りや雨の日でも昼間は日射があるため、ごく微量ながらも発電ができます。以下は天候別の発電量を表したグラフです。

(資源エネルギー庁や中部電力が発表した図をもとに弊社が独自で作成)
※定格出力とは、太陽光パネル1枚あたりの一定の条件下における発電量のこと
上記の図を見ると、曇りの場合は晴天時の1/3~1/10程度、雨天時だと晴天時の1/5~1/20程度まで発電量が落ち込んでいることがわかります。この数字だと、梅雨時期は発電量がほとんど見込めないように思えますが、月別で平均発電量を比較するとどうなのでしょうか。

(株式会社資源総合システムが発表した「東京都における太陽光発電システムの月別発電量」をもとに弊社が作成)
上記図は、東京都における太陽光発電システムの月別の平均発電量です。梅雨の時期に該当する6〜7月の平均発電量は5月の数字からは若干落ちますが、11〜2月よりも多く発電していることがわかります。これは、6〜7月の方が11〜2月よりも日照時間が長いからです。また11〜2月の方が影が長くなったり、雪が降ったりするため、発電量が減少します。そのため梅雨どきでも、ある程度の発電量が見込めます。
これから太陽光発電所を新設する方は、両面発電パネルを導入するのも一つの手です。両面パネルであれば、地面などを反射した光でも発電が可能になるため、さらに多くの発電量が期待できます。

梅雨時期でもある程度の発電が見込めることがわかりました。それでは次に、梅雨時期によく起きる太陽光発電所のトラブルを4つご紹介します。
電力系統には、火災や事故を防ぐために漏電ブレーカーが設置されていますが、雨が降るとこの漏電ブレーカーが突然作動し、パワコン(PCS、パワーコンディショナー)が運転をストップすることがあります。これはトリップと呼ばれる現象で、原因としては、パワコンと電力系統側を繋ぐケーブルの劣化が挙げられます。
パワコンと系統側を繋ぐケーブルには、漏電による火事や感電、地絡(電力が地面に流れること)などを防ぐために、絶縁抵抗値というものが設定されています。絶縁抵抗値とは、どれだけ電気を通しにくいかを表した数字のことです。一般に基準値よりも高ければ漏電や感電のリスクはないとされています。
しかしケーブルの外側が傷ついたまま放置したり、ケーブルを水たまりなどにつけっぱなしにしたり、端子部の汚れを放置しているとケーブルの劣化が進み、電気が外に漏れやすい状態になります。この状態で雨が降ると、絶縁性を失う絶縁破壊が起きて漏電が発生し、漏電ブレーカーが作動してパワコンが停止してしまうのです。
この異常の場合、制御電源が電力系統側(AC側)だけのパワコンだと、パワコン自体の電源がオフになります。しかし、電力系統側と発電設備側(DC側)の両方から制御電源を賄っている場合はDC側の制御電源を使ってパワコンを動かせるため、AC側に異常があれば「系統側異常」というアラートを受け取り、調査・解決に向けたアクションが可能になります。

①のトラブルは電力系統側(AC)の話ですが、太陽光パネル〜パワコン間(DC)の異常が原因の場合でもパワコンが停止することがあります。
太陽光パネルとパワコンを繋ぐケーブルにも絶縁抵抗値が設定されていますが、①のパターンと同様、劣化したケーブルに雨が当たると漏電が発生するため、パワコンがそれを感知して自動的に運転を停止するのです。
この異常は単純な問題かのように思えますが、解決が困難な場合があります。雨が降った翌日に晴れると、いきなり絶縁抵抗値が規定値以上に戻り、またパワコンが稼働することがあるからです。そうなると本当に故障していたのか、そして故障の原因がわからなくなります。また雨が降ると同じトラブルが再発する恐れがあるため、いかに早く原因を明らかにして対処できるかが重要です。
絶縁抵抗値の問題以外にも、雨が太陽光パネルに当たると静電気が発生し、それをパワコンが「電気が漏れた」と勘違いして運転を停止することもあります。いずれにせよ発電所に早急に駆けつけ、異常の原因を突き止める必要があります。
水は基本的に上から下に流れるため、雨水がどう流れるかを設計しておかないと、同じ場所を雨水が流れていくことになります。この状態を放置すると洗掘という、水で地面の土が削られる現象が起き、さらに長時間放置すると、ひどい場合には以下のように大きな穴ができてしまいます。

この状態をさらに放置すると架台を地中で支える基礎部分が剥き出しになり、太陽光パネルが土台部分から崩壊するため注意が必要です。もし発電設備が崩壊した場合、多額の修繕費用が必要になるだけでなく、売電ロスも発生し、多額の損失を被ることになります。
このトラブルの対策は2つあります。「洗掘が発生するたびに修繕する」または「水が流れる場所を新しく作る」です。1つ目の対策だと、穴が発生するたびに砂で埋めるなどして、都度高額な費用が発生します。この場合、セメントを加えるなどして土壌改良を行うことで、ある程度改善が見込めます。しかし土壌改良を行うには高額な費用が必要です。
高額な出費を防ぐ、崩壊のリスクを少しでも減らしたい場合は、2つ目の水が流れる場所を新しく作る、という対策がおすすめです。近くに溝を掘れば、水の流れをコントロールできるのでこの問題を解決できます。費用は発電所の状態やどのような仕上がりにするかで変化するため、まずはO&M会社に相談して見積もりをとり、費用対効果を比較した上で検討しましょう。

ホットスポットとは、太陽光パネルの一部に落ち葉やゴミ、鳥のフンが付着してできた影により、パネルの一部が発電できなくなる現象です。
ホットスポットが起きたパネルは発電をストップするものの、周囲のパネルは発電しているため、電流が異常のあるパネルを通過する際に電気を通さず、それを熱に変換してしまいます。放置すると太陽光パネルが焼けてしまい、発電できなくなるため注意しましょう。
しかし、雨が降るとどうしても落ち葉が発生するため、近くに木がある発電所ではホットスポットは塞ぎきれません。そのため、落ち葉の原因になりそうな枝を切るなどの対応が必要となります。

ここまで、梅雨の時期に起こりがちなトラブルを4つ見てきました。最後にこういったトラブルに備えてとっておくべきアクションを2つ、解説します。
任意ではあるものの、もしもの事態に備えて火災保険や利益保険に加入しておいた方がいいです。火災保険と地震保険があれば、災害による発電設備の被害に備えることができ、利益保険に加入していれば、トラブルによって被った損失額を補えます。
保険と聞くと、メーカー保証があるから大丈夫と考える方もいらっしゃるかもしれません。しかし、製品保証はパネルやパワコンの製造上の不具合に対する保証で、出力保証はパネルの経年劣化による発電力の低下に対して保証されるため、雨による被害は保証対象外です。なかには災害補償を設けているメーカーも一部ありますが、それはかなり稀なので、保険に加入することをおすすめします。
次に大切なのはO&M会社選びです。O&M会社によって、技術レベルや知識量が全く違います。普段からしっかりO&Mを行う会社であれば、トラブルの発生リスクを最小化でき、万が一トラブルが発生した場合もすぐに対応できます。会社によっては、今よりも低価格のメンテナンス費用で売電収入を増やすこともできるため、複数社を比較するようにしましょう。
afterFITのO&Mは、運転管理(オペレーション)の段階で、発電所のパワコンから届くアラートメールや、発電所の発電状況をチェックしています。そのため、緊急駆けつけがすぐにできるのはもちろんのこと、異常の原因を早急に明らかにして、解決に向けた修繕計画を提案し、発電所オーナー様の確認が取れ次第、そのまま修理工事まで請け負うことができます。
弊社は太陽光発電所の設計・開発・施工を数多く手がけているため、技術レベルも高く、ノウハウも非常に豊富です。メンテナンスにおいても太陽光パネルの裏側やコードの状態まで確認して回るため、異常に発展しそうな箇所を事前に発見し、対策を講じることができます。
また、弊社には資格保有者が数多く在籍しています。電気主任技術者などの有資格者が「太陽光投資の相談役」として、太陽光発電所を経営する中で生じるお悩みやご相談対応もできます。ほとんどの業務を内製化しているため外注費をカットし、高品質のサービスを低価格で提供できます。
法改正により、容量が10kW以上の発電所でトラブルが発生した場合、事故報告が必要になりました。売電ロスを最小化するだけでなく、事故報告に必要な手間を省くためにも、O&M会社選びは非常に大切です。事故報告の対応も弊社であれば対応できますので、お気軽にafterFITにご相談ください。お電話番号は0120-905-907、お問い合わせはこちらからお願いいたします。
